日商簿記検定2級「工業簿記」攻略とらの巻

本ブログでは、日商簿記検定2級「工業簿記」について分かりやすく解説します。

日商簿記検定2級「工業簿記」攻略とらの巻 ①工業簿記とは何か

①工業簿記とは何か

 工業簿記とは、工業、すなわち製造業における原価計算を簿記の上で行うものです。つまり、「中身」が原価計算で、「器」が簿記です。そこで、「中身」である原価計算をまず説明します。

 商業の場合は、基本的に仕入値を基に容易に売上原価を算出できます。例えば、1,000円で仕入れたシャツであれば、1,000円以上で売ればもうけが出ることが分かりますし、売値と仕入値の差額が売上総利益、つまり粗利益になります。

 しかし、製造業の場合、原料の布はいくら、裁断、縫製の機械の減価償却費がいくら、働く人たちの賃金・給料がいくらということは分かっても、製品であるシャツ1枚にいくらかかっているかは、計算しないと分かりません。例えば、売値をいくらにすればよいかも、それでもうけが出るかどうかも分からないということになります。

 したがって、原価計算というのは、製造業における原価、つまり製造原価を計算することを意味します。

 次に、「器」である簿記ですが、日商簿記2級を受けようとする人は、3級を合格している人が多いと思います。なので、商業簿記の説明は必要とないと思います。しかし、商業簿記では、外部との取引が記帳の対象のほとんどですが、工業簿記では、内部取引の記帳がほとんどです。そのため、商業簿記では出てこない記帳対象がたくさん出てきます。そこで、工業簿記は、「器」として簿記を使うところは商業簿記と同じですが、「中身」は大きく異なることを意識しましょう。